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Channel: 世田谷区議会議員・田中優子の活動日誌
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代表質問より〜保坂区長は本気で児童相談所の移管に取り組むつもりがあるのか?

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7月21日発行の『せたがや区議会だより』(NO.266)

ご覧になりましたか?


(以下は、私が行なった代表質問の部分)


この「代表質問」(6/13)より、児童相談所の移管について、

以下、質問した内容を貼り付けます。

(こちらは質問原稿案で、議事録とは多少表現が違う部分が

ありますが、質問内容は同じです)


田中優子代表質問の議会中継はこちらからご覧いただけます。

 

長文ですので、お時間のある時にでもお読みいただけたらと

思います。


児童相談所の問題に移ります。

先ほどの保坂区長の招集挨拶では、この件については何も触れて

いませんでした。

わずかに里親に触れている部分で「2年後に世田谷区への移管を

予定している児童相談行政と密接不可分の関係にあり」…という

下りだけです。

まるで、児童相談所は、2年後に東京都から自然にやってくるよ

うな言い振りです。

少なくとも福祉保健委員会ではこれからの数ヶ月、半年が大きな

山場だと聞いています。 


すでに人を雇い、場所を確保し、世田谷区としては、いわゆる

「開店準備」に入っている状態ですが、肝心の「免許」の見通し

が定かではない、という厳しい状況ではないですか。

 

児童相談所と言えば、先週報道された、目黒区での5歳の女の子

の虐待死は、残された「反省文」によって、痛ましさが伝わり、

怒りに震えた人が多くいることと思います。

私たち大人は何ができたのだろうか、ということを考えずには

いられません。

 

亡くなった女児に心より哀悼の意を表します。そして、同じよう

に虐待に苦しむ子どもを一人でも多く救えることに結びつくように、

という想いで、質問いたします。

 

2016年5月5日に放送されたNHKの「時事公論」によれば、

「虐待死は、無理心中を除いて、年間におよそ40人から50人の

子どもの命が奪われている」ということです。

これは児童相談所が把握した分だけで、「日本小児科学会」が医療

機関を通じて行なった「子どもの死亡事例の調査」では「年間に

およそ350人の子どもが虐待を受けて死亡している可能性がある」

と推計されています。

「多くの虐待死が埋もれているおそれがある」というのです。

 

児童虐待の被害者は、その多くが物言わぬ幼な子です。

今回の事件の被害者は、おそらく利発な子どもだったのでしょう。

「もうパパとママにいわれなくても、しっかりと、じぶんから、

きょうよりか、もっともっと、あしたはできるようにするから、

もうおねがい ゆるして、ゆるしてください」と綴っていました。

 

覚えたての「ひらがな」でこんな悲しいお願いをしなければなら

ないとは…。

そして、そんな状況から救い出すことができなかったとは…。

 

そこで考えなくてはならないのは、一体あの女児を救えたのは、

誰だったのか、ということです。

さらには、あの子と同じような境遇にある子どもは、この世田谷区

にもいる可能性がある、ということです。

実際、過去には世田谷区でも悲しい事件が起きています。

 

虐待から子どもを救えるのは児童相談所であり、警察という機能

であります。

その相反する機能をグリップする、調整するのが地元自治体である、

というのが私たちの会派の考えです。

 

ここからは多少説明が長くなりますが、問題点を浮き彫りにする

ためには、事実経過の紹介が不可欠でありますので、お付き合い

いただきたいと思います。

 

この目黒の事件は今月起きたことではなく、は今年の3月2日、

3ヶ月も前のことです。

当時の読売新聞の記事から引用しますと「女児は2016年4月に

四国の幼稚園に入園。前に通っていた保育所から虐待が疑われる、

との引き継ぎがあり、6月ころには幼稚園教諭が複数のあざがある

のに気づく。


さらに四国の児童相談所にも、8月ころに自宅近くの住民から虐待

の疑いの通報があり、児童相談所は、市(自治体ですね)、市と

連携して家庭訪問を始め、同年12月、父親に殴られ屋外でうずく

まっていた女児を一時保護した」とあります。

これは一昨年のことです。当時、この女児は3歳でした。

 

その後、この父親は「今後優しくしたい」と謝罪し、児童相談所は

3ヶ月後の2017年2月に女児を帰宅させた。

しかし、その1ヶ月半後、再び、自宅前に放置され、また女児は

児童相談所に保護された。

 

警察もその頃、動き出し、捜査をすすめるが、父親は2度、傷害

容疑で書類送検されたものの、地検は不起訴とし、刑事責任を

追及されることなく、児童相談所は2017年7月、つまり昨年の夏

ですが、児童福祉法に基づく「指導措置」を講じて、「一時保護」

を解除した、というのです。

 

このことが女児を虐待死に向かわせることに繋がります。

 

家に戻ってからも病院で女児の顔や足にあざがあるのが発見され

たが、父親が暴行を否定したため児童相談所は一時保護をしなか

った、そうです。

 

こういう所に、児童相談所が抱える大きな悩みがあります。

親が、敢えて言わせていただければ、ウソをつく、虐待の程度を

親の価値判断で、勝手に「しつけ」と決めつけてしまう、それを

見過ごすのか、立ちはだかるのか、決断が必要となるわけです。

 

四国の児童相談所も、もしかしたら、検察の不起訴がこたえて

いたのかもしれません。

結局、女児の両親は表面的には児童相談所の指導に従い、今年

1月の「指導措置」も解除されました。

ここまでが四国での話です。

 

そして、今年1月、女児の家族は目黒区に転居します。

四国の児童相談所から品川児童相談所に女児に関する全資料が

送られていました。 

さて、品川児童相談所では、今年2月9日に自宅を訪問したが

女児の姿を確認できなかった。

さらに入学説明会でも参加したのは母親だけで、女児の姿は

確認できなかった。

その10日後に女児は遺体となって発見されます。

そして今年3月8日の読売新聞は『児相「命の危険」見逃す』

という記事として伝えているのです。

 

なぜ、この事件が先週、大きく取り上げられたか、というと、

6月6日に虐待死の疑いで父親と母親が警察に逮捕されたから、

です。

その際、女児の痛々しい「パパ、ママ、おねがいゆるして」

というひらがなの訴えも報道されました。

 

ここで問題なのは、児童相談所と警察との関係です。

これは福祉と犯罪との関係とも言い得るのですが、あくまでも

児童相談所の目的は「福祉的に支援したい」というのが本質

です。

一方、警察の目的というのは、「法と証拠に基づいて事件を

立件したい」という立場です。

 

犯罪者を裁くということと、犯罪者のハザマで生活せざるを

得ない児童を救出・支援することは、往々にして異なるベク

トルに動きやすいものです。

つまり、福祉的支援に警察が過度に関与することを不安視する、

という考えがある、ということです。

 

一瞬の判断、問題家庭に乗り込むか、拒否されて撤退するか、

その判断によって虐待死防止にもつながるのです。

 

大都市東京に任せていては、細かい調整や繊細なやり取りは

できないのではないか?

だからこそ、児相の区への移管が必要なのです。


警察も含めた行政の縦割りを調整するのは、まさに政治の責任

です。

そして、政治責任のトップにいるのは保坂区長であります。

その覚悟が、本気の覚悟が、保坂区長にあるでしょうか。

 

児童虐待の根底にあるのは、「暴力の肯定」です。

躾だ、教育だ、指導だ、と言って、暴力は常に弱い者に向かっ

ていきます。

その矛先が幼な子であれば虐待死に、児童であればいじめに、

環境が孤独であれば自死につながります。

また邪悪な欲望の矛先となれば誘拐、殺人にもなり得ます。


 


私が、昨年のドリームジャズバンドの事件に対して、保坂区長

にNGを出し続けるのは、「髪を鷲づかみして往復ビンタをした」

という明らかな暴力行為を、ささいなこととして、保坂区長が

あの一件を容認している姿勢のままだからです。


自治体のトップが、あの暴力行為を「体罰の手前」「暴行とまで

は言えない」などという間違った認識で、児童相談所を引き受け

ても大丈夫なのか?とさえ思います。


口で体罰を否定しても、実態がそうではない、というダブル・

スタンダードが透けて見えていることを、区長は自覚すべきです。

 

誰がやったことであろうと「暴力は暴力」と、はっきり言える

トップでなければ、子どもの命は守れないのではないでしょうか。

 

社会の中では教育や躾について様々な考えがあるでしょう。

しかし、公的機関としては絶対に暴力は認めないという姿勢を

示さなければ、社会の基準というものがおかしくなってしまい

ます。

保坂区長のように、明らかな暴力行為を「ぎりぎり体罰の手前」

と言い暴力とは認めない。

それでいて、「暴力は絶対許さない」などと言っても、まるで

説得力がありません。

 

さて、児童相談所の移管は、手続き論だけでは克服できない、

社会の本質的な問題を含んでいるだけに、政治の善し悪しが

反映されると考えます。

「ぎりぎり体罰の手前」も暴力であるとの反省の弁を保坂区長

に求めて、以下手続きの質問をいたします。

【答弁】

私は暴力を容認したことはない。今後もこの考えは変わらない。

 

150もある東京都との検討事項について5月現在の委員会報告

ではわずかに2つしか検討結果が出ていない。

現状では議会に正確な報告が為されていないのではないか。

【答弁】

5月に、東京都と特別区による「検討会」が設定されたところ

であり、ようやく、検討が進む運びとなった。

 

仮に、いわゆる自腹で児相を運営する場合の総経費はどれくらい

かかるのか。

【答弁】

年間で約20億円程度を見込んでいる。

このうち、施設措置費に対する国庫負担金が7億5千万円程度の

ため、区の負担としては約12億5千万円と見込んでいる。

このほかに、子ども家庭支援センターの体制強化や設置市事務

に関連する諸経費がかかるが、7月を目途に算定する。

これらは、都区財政調整制度に位置付けられているもの認識し

ているので、都区財調の普通交付金で算定されるべきものとし

て、都区協議に臨む。


また、この問題は、事実上、政治闘争の部分があり、東京都に

対して、陳情行政では相手にされない可能性が大きいと考えます。

保坂区長には政治生命を賭けて、虐待の連鎖を断ち切る覚悟は

あるのか。その手法・算段について伺います。

【答弁】 

児童の権利の具現化を目指して、私が先頭に立って取り組む。

東京都に対し、さらに積極的な提案と要請を行う。

児相の移管について、実現に向け全力で取り組む。


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